English Poetry and Literature
HOMEブログ本館東京を描く水彩画ブレイク詩集フランス文学西洋哲学 | 万葉集プロフィールBSS

告別 A Valediction :ジョン・ダン



  有徳の人が穏やかに息を引き取り
  魂にさあ行こうとささやきかけるとき
  悲しみにくれた友人たちはこもごもいう
  「息を引き取った」とも 「いやまだだ」とも

  そのように静かに消えていこう
  涙の洪水もため息の嵐も引き起こさずに
  世の中の人々に僕らの愛を語ることは
  僕らの喜びを損なうことだもの

  地面の揺れは災厄と恐れをもたらし
  人々はいったい何が起きたのかといぶかる
  でも天球全体の揺らめきは
  はるかに大きくても無害だ

  おろかな月下世界の人々にとっては
  魂とは感覚にほかならないので
  愛する人がいないことはつらい
  感じうるものが失われるから

  でも僕らの愛は純粋だから
  それが何であるかなど知る必要もない
  心が互いに結ばれていれば
  目も唇も手もいらない

  僕らの魂は二つながら一つなのだ
  だから僕が行ってしまったとしても
  それは君から引き裂かれたのではない 
  薄く延ばされた金箔のように膨張しただけなのだ

  僕らの魂が二つだったとしても
  コンパスの両脚のように二つなのだ
  君の魂はコンパスの固定された脚
  動くときは相棒の僕の魂と一緒だ

  片方が中心にじっとしていると
  もう片方はその周りを回転する
  一つは傾きながら他の動き追い
  それが元へ戻るとまっすぐに立つ

  君と僕とはそんな間柄なのだ
  僕はコンパスの脚のように斜めに走る
  君を支えにして僕は円を描き
  始めにいたところに再び戻ってくる


心が肉体を離れても実体を持ち続けると歌うこの誌は、新プラトン主義的な傾向が伺われることから、ダンの中期の作品であろうと推測される。

心は肉体とは別個の実体だと歌うばかりではない。ダンは二つの心が一体化し、一つになるともいっている。

かりに心が一つでなく二つであっても、それはコンパスの両足のように、互いが互いの存在を頼りにしているような関係だ。こう歌う部分は、エリオットによって、卓越した比喩だと絶賛された。








A Valediction Forbidding Mourning. by John Donne

  AS virtuous men pass mildly away,
  And whisper to their souls to go,
  Whilst some of their sad friends do say,
  "Now his breath goes," and some say, "No."


  So let us melt, and make no noise,
  No tear-floods, nor sigh-tempests move ;
  'Twere profanation of our joys
  To tell the laity our love.

  Moving of th' earth brings harms and fears ;
  Men reckon what it did, and meant ;
  But trepidation of the spheres,
  Though greater far, is innocent.

  Dull sublunary lovers' love
  -Whose soul is sense- cannot admit
  Of absence, 'cause it doth remove
  The thing which elemented it.

  But we by a love so much refined,
  That ourselves know not what it is,
  Inter-assured of the mind,
  Care less, eyes, lips and hands to miss.

  Our two souls therefore, which are one,
  Though I must go, endure not yet
  A breach, but an expansion,
  Like gold to aery thinness beat.

  If they be two, they are two so
  As stiff twin compasses are two ;
  Thy soul, the fix'd foot, makes no show
  To move, but doth, if th' other do.

  And though it in the centre sit,
  Yet, when the other far doth roam,
  It leans, and hearkens after it,
  And grows erect, as that comes home.

  Such wilt thou be to me, who must,
  Like th' other foot, obliquely run ;
  Thy firmness makes my circle just,
  And makes me end where I begun.






前へHOMEジョン・ダン次へ







作者:壺齋散人(引地博信) All Rights Reserved (C) 2007-2009
このサイトは、作者のブログ「壺齋閑話」の一部を編集したものである