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カッコウに寄す:ウィリアム・ワーズワース


ウィリアム・ワーズワースの詩「カッコウに寄す」 To the Cuckoo を読む。(壺齋散人訳)

  やあ!聞き覚えある声のお客さん
  君の声を聞くと うきうきするよ
  カッコウと呼んだらいいのかい
  それともさすらう声と呼ぼうか

  野原の上で寝そべっていると
  君のなつかしい声が聞こえてくる
  丘から丘へと響き渡り
  遠ざかったり近づいたり

  光り輝く谷間の中に
  晴れやかにこだまする君の声は
  僕に物語を語ってくれる
  うっとりとするような時の中で

  ごきげんよう 春の使者よ!
  君は鳥というべきより
  形のない何かのようだ
  言霊のような 神秘のような

  僕がまだ少年の頃
  君の大きな声を聞くと
  声のありかを探したものだ
  繁みや 木陰や 空の彼方を

  君を求めて探し回った
  森の中や 野原の上を
  でもどんなに探しみても
  君の姿は見つからなかった

  いまここに横たわって
  君の声を聞いていると
  少年の頃のなつかしい時が
  ありありとよみがえる

  命をはぐくむ季節がきた
  僕らが暮らすこの地球は
  御伽噺の世界のように
  君にとっても住みよいかい


1802年の春に作った歌。カッコウは日本のホトトギスが初夏の訪れを告げるのと同じような意味で、イギリス人にとっては春の訪れを告げる鳥だ。のびのびとしたその声は、発するものの姿を見せぬまま、春の野辺一面に響き渡る。

ワーズワースはそのカッコウの声に少年時代の思い出をかき立てられ、なつかしい感情をこめて呼びかけている。








To the Cuckoo William Wordsworth

  O blithe newcomer! I have heard,
  I hear thee and rejoice:
  O Cuckoo! shall I call thee bird,
  Or but a wandering Voice?

  While I am lying on the grass
  Thy twofold shout I hear;
  From hill to hill it seems to pass,
  At once far off and near.

  Though babbling only to the vale
  Of sunshine and of flowers,
  Thou bringest unto me a tale
  Of visionary hours.

  Thrice welcome, darling of the Spring!
  Even yet thou art to me
  No bird, but an invisible thing,
  A voice, a mystery;

  The same whom in my schoolboy days
  I listened to; that Cry
  Which made me look a thousand ways
  In bush, and tree, and sky.

  To seek thee did I often rove
  Through woods and on the green;
  And thou wert still a hope, a love;
  Still longed for, never seen!

  And I can listen to thee yet;
  Can lie upon the plain
  And listen, till I do beget
  That golden time again.

  O blessed birth! the earth we pace
  Again appears to be
  An unsubstantial, fairy place,
  That is fit home for Thee!





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