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アポロの讃歌 Hymn of Apollo :シェリー


アポロの讃歌

  星空を帳にして眠るわたしを
  時の女神たちは見守っていたが
  月光あふれる空の彼方から
  私の眠気を吹き払ってくれた
  彼女らの母 灰色の曙が
  夢も月も消え去る時だと告げたからだ

  立ち上がったわたしは天空の青いドームによじ登ると
  寝巻きを大海の泡に投げ捨てて
  山々や波の上を歩いていった
  わたしの歩いた後 雲は火に染まり
  洞窟はわたしのために明るく照らされ
  大気は緑の大地をわたしの抱擁にゆだねた

  わたしは陽光を槍にして虚偽を撃つ
  虚偽は夜を愛し 昼の光を恐れるのだ
  よこしまな思いを抱く者はわたしから逃げる
  善良な心とよき行いの人たちのみが
  わたしの熱い光から力を汲み取る
  光が夜の支配によって消え去るまでは

  わたしは自分の力を感ずるのだ
  雲や虹や花々が天空の色に染まり
  球形の月や清純な星々が永遠の住処にあって
  わたしの力をローブのようにまとっているのを
  地上であれ天空であれ灯りが輝くのは
  ことごとくわたしの光を分有しているからだ

  白昼には天空の頂に立つわたしも
  やがては心ならず下へと進み
  大西洋の彼方なる雲の中へと消える
  人々はわたしを失う悲しみから嘆くが
  西の果ての島からわたしが投げる微笑を見て
  喜びの感情に包まれることだろう

  わたしは宇宙にとっての目だ
  宇宙はわたしを介して自分自身を見る
  音楽と詩歌のすべての調和
  あらゆる予言 あらゆる医術はわたしから
  芸術と自然のあらゆる光
  勝利と称賛はわたしの歌から発する


アポロはいうまでもなくギリシャ神話のスーパースターである。太陽の神として宇宙を照らすその姿は、ギリシャ人にとっては、神の中の神とイメージされていた。また、オリンポスに鎮座し、人間に運命の託宣を与える神として、ソクラテスでさえも、その神託を乞うた。

アポロはまた、調和を主催する神である。したがって調和にかかわるすべてのこと、音楽、詩歌、芸術、医術にとっての源泉でもある。

シェリーはここでは、そのアポロが自分自身を称えるという設定を取っている。「アポロへの讃歌」ではなく、「アポロの自分自身の讃歌」である。そのアポロは太陽として、一日の動きをたどりながら、自分がいかに力に満ち、この宇宙にとってかけがえのないものであるかを、おおらかに歌っている。








Hymn of Apollo - Percy Shelley

  "The sleepless hours who watch me as I lie,
  Curtained with star-inwoven tapestries
  From the broad moonlight of the sky,
  Fanning the busy dreams from my dim eyes.
  Waken me when their mother, the grey Dawn,
  Tells them that dreams and that the moon is gone.

  "Then I arise, and climbing Heaven's blue dome,
  I walk over the mountains and the waves
  Leaving my robe upon the ocean foam;
  My footsteps pave the clouds with fire; the caves
  Are filled with my bright presence, and the air
  Leaves the green earth to my embraces bare.

  "The sunbeams are my shafts with which I kill
  Deceit, that loves the night and fears the day;
  All men who do or even imagine ill
  Fly me, and from the glory of my ray
  Good minds and open actions take new might
  Until diminished by the reign of night.

  "I feel the clouds, the rainbows, and the flowers
  With their ethereal colors; the moon's globe
  And the pure stars in their eternal bowers
  Are cinctured with my power as with a robe;
  Whatever lamps on Earth or Heaven may shine
  Are portions of one power, which is mine.

  "I stand at noon upon the peak of Heaven,
  Then with unwilling steps I wander down
  Into the clouds of the Atlantic even;
  For grief that I depart they weep and frown.
  What look is more delightful than the smile
  With which I soothe them from the Western isle?

  "I am the eye with which the Universe
  Beholds itself and knows itself divine;
  All harmony of instrument or verse,
  All prophecy, all medicine is mine,
  All light of Art or Nature; to my song
  Victory and praise in its own right belong."





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