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謎 An Enigma:エドガー・ポーの詩を読む



エドガー・ポーの詩「謎」An Enigma(壺齋散人訳)

  ソロモン・ドン・ドゥンスがいうとおり
  このソネットには内容がない
  一読しただけでその無意味さが
  誰にもわかろうというもの
  まるでナポリの髪型のようだ
  だがまるで無意味かというとそうでもない
  たとえばペトラルカ風のソネットなどとは
  ちょっぴり風味が異なっている
  たしかにソロモンのいうとおり
  ことば自体は泡のようにはかなくて
  いまにも消えてなくなりそうだが
  ただひとつ確かなものがある
  それは堅固で不透明で永遠だ
  この中に隠されている名前がそうなのだ


題名からして謎に満ちたこの詩は、エドガー・ポーの面目を躍如として示している。読者はそれを読み解くために精神の集中を求められている。まるで詩の形で書かれた推理小説を読まされているようだ。

この詩のなかには、人名が隠されている。一列目の一番目の文字、二列目の二番目の文字、三列目の三番目の文字といった具合に、法則にのっとって文字を取り出して並べると、Sarah Anna Lewisという人名が現れる。

この女性のことはよくわからないが、ポーには感謝する理由があったようだ。

この詩を書いたのは1833年、ポーはようやく短編小説に油が乗ってきた。ポーの短編小説には数多くの謎解きの場面が出てくるが、この作品は詩のかたちで謎解き遊びを楽しんだものと考えることができる。





AN ENIGMA. By Edgar Allan Poe

  "Seldom we find," says Solomon Don Dunce,
   "Half an idea in the profoundest sonnet.
  Through all the flimsy things we see at once
   As easily as through a Naples bonnet --
   Trash of all trash! -- how can a lady don it?
  Yet heavier far than your Petrarchan stuff-
  Owl-downy nonsense that the faintest puff
   Twirls into trunk-paper the while you con it."
  And, veritably, Sol is right enough.
  The general tuckermanities are arrant
  Bubbles -- ephemeral and so transparent --
  But this is, now, -- you may depend upon it --
  Stable, opaque, immortal -- all by dint
  Of the dear names that lie concealed within 't.





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