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落葉 The Falling of the Leaves



ウィリアム・B・イェイツの詩集「アシーンの放浪」から「落葉」The Falling of the Leaves(壺齋散人訳)

  わたしたちを愛でてくれた長い草の葉に秋が来た
  麦わらに巣くうハツカネズミにも秋が来た
  頭上のナナカマドの葉は黄色く色づき
  野いちごの濡れた葉っぱも黄色くなった

  ときがわたしたちの愛をひからびさせ
  わたしたちの心は疲れ果ててしまった
  情熱の季節に取り残されてしまう前に別れよう
  君のうつむいた額にキスと涙を贈ってあげるから


ウィリアム・B・イェイツの処女作は1889年、24歳の時に出版した「アシーンの放浪」 The Wanderings of Oisin and Other Poems である。これによってイェイツは一躍ユニークな詩人としての名声を得た。

作品は表題となった長い叙事詩と短い詩から構成されている。短い詩は後に「十字路」 Crossways という表題の下にまとめられた。

イェイツは生涯を通じてアイルランドのケルト文化に傾倒し、その作品の多くはアイルランドの古い伝説や民話を踏まえている。処女作の「アシーンの放浪」においても、同名の叙事詩がアイルランド伝説を歌ったものであるほか、短い詩の多くにもそうした雰囲気が盛り込まれている。

この詩は落葉のように枯れていく男女の愛の別れを歌ったもの。イェイツは後にモード・ゴンとの複雑な恋愛を契機にして、男女のもつれ合いを描いた詩を多く作るようになるが、すでに処女作においても、それを思わせるような詩を書いていたことがわかる。





THE FALLING OF THE LEAVES
by: William Butler Yeats

  AUTUMN is over the long leaves that love us,
  And over the mice in the barley sheaves;
  Yellow the leaves of the rowan above us,
  And yellow the wet wild-strawberry leaves.

  The hour of the waning of love has beset us,
  And weary and worn are our sad souls now;
  Let us part, ere the season of passion forget us,
  With a kiss and a tear on thy drooping brow.





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