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火の説教5:T.S.エリオット「荒地」 |
T.S.エリオットの詩「荒地」から「火の説教」5(壺齋散人訳) 川がオイルとタールの 汗をかく 艀は潮に乗って ただよう 赤い帆を いっぱいに広げて はためきながら 川下に向かう 艀は漂う 丸太を 洗いながら グリニッジのほうへと下っていく アイル・オヴ・ドッグスを通り過ぎて ウェアララ レイア ワララ レアララ エリザベス女王とレスター伯 波をうつオール ともの屋形は 金箔の貝殻仕立てで 赤や金色の模様がついてる すばやく風をはらみつつ進み 両岸にさざなみを打ち寄せた 西南の風に乗って 流れを下っていく 鐘の響き 白い塔 ウェアララ レイア ワララ レアララ 「路面電車やほこりっぽい樹木 ハイベリーが私を生み リッチモンドとキューが私をバラした わたしはリッチモンドの傍らで膝を立てて 狭いカヌーの底に仰向けになったんだ」 「私の足はムーアゲートに 私の心は足の下にある あのことの後で彼は泣いて 新たなスタートを約束した 私は何も言わなかった だって恨むことなんてないから」 「マーゲイトの砂浜で 私はなにひとつ 思い出せない 汚れた両手の割れた爪 うちのひとたちはみじめなひとたちで なんの望みもない」 ララ 私はそれからカルタゴへ来たのだ 燃えてる 燃えてる 燃えてる 燃えてる 主よ 私を救いたまえ 主よ 救い給え 燃えてる エリオットは原注の中で、これは「テムズの三人の娘」の歌だと言っている。だが彼女らの出自や、この歌の由来などについては、詳しいことは語っていない。ただヴァーグナーの戯曲「神々の黄昏」の中のラインの娘たちを参照せよといっているのみだ。 「私はそれからカルタゴへ来たのだ」は、アウグスティヌスの「告白録」の中からの引用。アウグスティヌスがカルタゴで見たのは、恥ずべき情欲の炎だったという。 続く部分の「燃えてる」以下は、釈迦の火の説教を暗示させる。「主よ救いたまえ」もアウグスティウスの言葉。 |
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The river sweats Oil and tar The barges drift With the turning tide Red sails Wide To leeward, swing on the heavy spar. The barges wash Drifting logs Down Greenwich reach Past the Isle of Dogs. Weialala leia Wallala leialala Elizabeth and Leicester Beating oars The stern was formed A gilded shell Red and gold The brisk swell Rippled both shores South-west wind Carried down stream The peal of bells White towers Weialala leia Wallala leialala "Trams and dusty trees. Highbury bore me. Richmond and Kew Undid me. By Richmond I raised my knees Supine on the floor of a narrow canoe." "My feet are at Moorgate, and my heart Under my feet. After the event He wept. He promised 'a new start.' I made no comment. What should I resent?" "On Margate Sands. I can connect Nothing with nothing. The broken finger-nails of dirty hands. My people humble people who expect Nothing." la la To Carthage then I came Burning burning burning burning O Lord Thou pluckest me out O Lord Thou pluckest Burning |
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作者:壺齋散人(引地博信) All Rights Reserved (C) 2007-2014 このサイトは、作者のブログ「壺齋閑話」の一部を編集したものである |