English Poetry and Literature
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チャップマンのホメロスを一読して:キーツ


  いくたびか私は黄金の領域を旅し
  あまたの良き国や王国を訪ねたことか
  吟遊詩人がアポロのために治めている
  多くの西海の島々にも滞在した

  時折私は聞かされてきた あの皺深いホメロスが
  領土としている大きな広がりのことを
  だがその新鮮な息吹に触れることは適わなかった
  チャップマンが声たかく話すのを聞くまでは

  そのとき私は天文学者にでもなって
  視界の中に新しい星を発見した気分だった
  またたくましいコルテスが鷲のような目で
  始めて太平洋を見たときのような気分だった
  航海の男たちはみなダリエンの頂上に立ち
  感動の余りに互いに見詰め合ったものだ


この詩はキーツが20歳のときに書いたもので、彼の詩人としての旅立ちを記念する作品である。

キーツは後に「エンディミオン」や「ハイペリオン」を書くように、ギリシャ神話に深い関心を抱いていた。中でもホメロスの作品は憧れの的だったようで、それをチャップマンの翻訳で読むことが出来たときの喜びは大きかった。この詩はそのときの喜びを描いているのである。

詩は前半の8句と後半の6区に大きく分けられる。前半では自分の読書の跡を振り返り、そのかなでふつふつとわいてきたホメロスへの憧れについて記されている。後半ではそのホメロスの世界を、チャップマンの翻訳によって読んだときの感動を記している。








On First Looking Into Chapman's Homer by John Keats

  Much have I travell'd in the realms of gold,
  And many goodly states and kingdoms seen;
  Round many western islands have I been
  Which bards in fealty to Apollo hold.

  Oft of one wide expanse had I been told
  That deep-brow'd Homer ruled as his demesne;
  Yet did I never breathe its pure serene
  Till I heard Chapman speak out loud and bold:

  Then felt I like some watcher of the skies
  When a new planet swims into his ken;
  Or like stout Cortez when with eagle eyes
  He star'd at the Pacific--and all his men
  Look'd at each other with a wild surmise--
  Silent, upon a peak in Darien.





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