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手負いの鹿こそ最も高く飛び上がると(A Wounded deer leaps highest):ディキンソンの詩から



エミリー・ディキンソンの詩から「手負いの鹿(A Wounded deer leaps highest)」(壺齋散人訳)

  手負いの鹿こそ最も高く飛び上がると
  猟師が話すのを聞いたことがある
  それは断末魔の痙攣なのだ
  それを草むらが静かに受け止めるのだ

  砕かれた岩は迸り散る
  踏みつけられた鋼は跳ね返る
  頬がますます赤くなるのは
  熱病に冒された時

  陽気を装ってるのは苦しんでるせい
  そうやって身構えているのだ
  誰かに血を見つけられて
  傷ついているよと言われないように


傷ついた鹿がもっともはげしく運動することを手掛かりにして、抑圧と反動との逆説的な関係について歌う。





  A WOUNDED deer leaps highest,
  I 've heard the hunter tell;
  'T is but the ecstasy of death,
  And then the brake is still.

  The smitten rock that gushes,
  The trampled steel that springs:
  A cheek is always redder
  Just where the hectic stings!

  Mirth is the mail of anguish,
  In which it caution arm,
  Lest anybody spy the blood
  And "You 're hurt" exclaim!





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