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彼女の歩く姿の美しいさま She walks in beauty


  彼女の歩く姿の美しいさまは
  雲ひとつない星空のようだ
  闇の黒さと星々の輝きが
  彼女の姿 目の中で出会い
  やさしい光を放っている
  真っ白な昼には見られない光だ

  だが陰が深まり 光が弱まると
  魅力はいささか損なわれる
  光が黒髪を波打たせて見せ
  顔をかすかに照らしてこそ美しさは映える
  そこに彼女の顔の純真さが見え
  彼女のつつましさが滲み出るのだ

  光が彼女の頬や額を照らすと
  穏やかで物静かで 思い溢れる表情になる
  笑顔は人の心をとらえ 顔色は燃え立ち
  よき日々の思い出を語って見せる
  光は彼女の雰囲気を和ませ
  無垢の愛に包まれた心を見せてくれる


この詩はバイロンの作品の中で最も有名なもので、どんなアンソロジーにも、彼の代表作として必ず載せられている。

原文で読むと、雰囲気がよく伝わってくるのだが、これを日本語に訳すのは非情に難しい。直訳したのでは、おそらくまともな日本語にならないばかりか、意味を通じさせることも難しいだろう。省略が極端に多いからだ。だから訳出に当たっては、行間に隠れているものを表に出した。

バイロンがこの詩を捧げている相手は、従妹のウィルモット夫人である。バイロンはある夜会の席上彼女と出会い、その美しさに圧倒されてこの詩を書いたのだという。そこに恋愛の感情が介在していたのかどうか、それは定かではない。

この詩の中でバイロンは、彼女の美しさは、夜の光を通じてみるからこそ映えるのだといっている。太陽の光の下では、なにもかもが明るくさらけ出されるから、微妙な美しさは期待できない。夜空のように、暗黒と光のコントラストが一人の女性の中で実現するときに、その女性の美は頂点に達する、バイロンはそう主張しているのである。








She walks in beauty - Byron

  She walks in beauty, like the night
  Of cloudless climes and starry skies;
  And all that's best of dark and bright
  Meet in her aspect and her eyes:
  Thus mellowed to that tender light
  Which heaven to gaudy day denies.

  One shade the more, one ray the less,
  Had half impaired the nameless grace
  Which waves in every raven tress,
  Or softly lightens o'er her face;
  Where thoughts serenely sweet express
  How pure, how dear their dwelling place.

  And on that cheek, and o'er that brow,
  So soft, so calm, yet eloquent,
  The smiles that win, the tints that glow,
  But tell of days in goodness spent,
  A mind at peace with all below,
  A heart whose love is innocent!





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